第32回日本内視鏡外科学会総会に参加しました。


高知赤十字病院・西岡康平先生   西野豪志先生

 2019年12月5日~7日にパシフィコ横浜で開催された第32回日本内視鏡外科学会総会に参加しました。年内最後の全国学会です。今年は、たくさんの全国学会、研究会、地方会で発表させていただき、これまでで最多の発表数となりました。学会納めという気持ちで、意気揚々と横浜に向かいました。学会会場では高知赤十字病院に勤務中の西岡康平先生と出会い、近況を報告しあい、記念撮影をしました。

 今回、学会2日目のパネルディスカッション「食道内視鏡手術のアプローチ法(胸腔鏡 vs 縦隔鏡)」というセッションで、当科の縦隔鏡下食道切除術の工夫と定型化についての発表をさせていただきました。このように胸腔鏡手術と縦隔鏡手術が対等に並べられてのセッションが開かれることなど、数年前には考えられないことでした。当科丹黒教授が日本のパイオニアである縦隔鏡手術のセッションに徳島大学の名前がないことは許されないという思いで、全力をもって演題を出しました。

 座長は、昭和大学の村上先生と京都府立医大の藤原先生が務められ、前半5演題が胸腔鏡、後半4演題が縦隔鏡という構成でした。胸腔鏡に関しては、側臥位・腹臥位の体位選択に胸管合併切除や3D軟性鏡の併用など各施設の工夫が加えられ、円熟した議論が繰り広げられていました。縦隔鏡に関しては、もはや常連となっている鹿児島大学、東京医科歯科大学、京都府立医大とわれわれ徳島大学で、胸腔鏡とは全く異なるアプローチの手術を報告しました。セッションのタイトルは「胸腔鏡vs縦隔鏡」となっていますが、2つの術式は全く異なるアプローチであるため、戦いようがないというのが正直なところで、胸腔鏡を行う施設から、胸壁を傷つけないのは良いに決まっているが、本当に根治切除できているのか、というのが疑問点としてあるように感じました。これまで、縦隔鏡の利点・方法を積極的に報告してきましたが、これからは胸腔鏡手術と比較して優位性があるのか、ということを中心に議論されるべきだと思いました。将来的には、大規模な臨床試験が必要だとは思いますが、現実的にはまだまだ実現しそうにないので、当科での検討を継続していきたいと思います。そして、今後も研鑽を積み、手術に磨きをかけていきたいと思います。今回も、このような有意義な学会を経験させていただき、丹黒先生および諸先生方に感謝いたします。

         西野豪志

     【発表演題】
       《パネルディスカッション》根治を目指した縦隔鏡下食道切除術:縦隔リンパ節郭清の工夫と定型化
         西野豪志,井上聖也,後藤正和,吉田卓弘,丹黒 章

       《Surgical Forum》胸腔鏡困難症例をやりやすくするための少しの工夫とリスクマネジメント
         鳥羽博明,松本大資,河北直也,坪井光弘,川上行奎,吉田光輝,近藤和也,丹黒 章

2019.12.10