乳腺の良性疾患について
乳腺のおもな良性疾患を紹介します。
線維腺腫
非常によく見かける乳腺良性疾患です。通常は2-3cmになると増殖がとまり16-59%は自然に退縮しますが、自然退縮しなかった線維腺腫の5%だけが増大します。10cm以上に成長する線維腺腫もあり若年性線維腺腫と呼ばれます。3cmを超えると葉状腫瘍の可能性が否定できないので、一般的には摘出が勧められます。線維腺腫にがん化が起こる確率は非常に稀です。
葉状腫瘍
全乳房腫瘍の1%未満と少ない腫瘍(大きさ:1-41cm)ですが、急速に増大して受診されることがあります。乳房を変形させたり皮膚を圧迫して潰瘍を形成することもあります。良性(50%以上)、境界悪性、悪性(約25%)に分類され、再発を繰り返すたびに悪性度が増すことがあるので、初回手術でしっかり切除を行うことが重要です。
乳管内乳頭腫
主な症状は乳頭からの漿液性あるいは血性の分泌や腫瘤触知ですが、無症状のものも少なくありません。大きさも2mmから3cmのものまで存在します。画像検査で乳管内に生じるがんと区別することが難しい場合は、手術による摘出が必要となることもあります。
乳腺炎・膿瘍
多くは産褥婦に発症した乳汁うっ滞性乳腺炎に細菌感染が加わったものですが、授乳とは関係なく乳頭の傷から細菌感染をおこすこともあります。この時点では抗生剤で治療しますが、膿瘍を形成した場合は局所麻酔下に切開をして膿汁をださないと治癒は難しくなります。