育児休業体験記(育休を取得して-細川暉雄先生)

 私が大学病院に勤務して、現在11ヶ月が経過しました。私事ではありますが、2024年1月から1ヶ月間育休を取得しました。
 育休を取ることは6月頃にはほとんど決めていましたが、後期研修を開始して1年目ということもあり「若手で育休を取得していいのか」、「取った後は仕事を当ててもらえないのではないか」などの不安があり、先輩方へ相談するのも躊躇していました。ですが、普段手術や病棟業務などで相談している先輩方に恐る恐る話したところ、どの先生も反対することなく、「絶対に取ったほうがいいよ」とむしろ勧めてくれる先生ばかりでした。また、当教室の先輩が私よりも先に育休を2か月取得されていたこともあって、より私が育休について言い出しやすい雰囲気でもありました。中には、今後の育児についてまで親身になってアドバイスをくれる先生もいらっしゃいました。
 いざ育休が始まってみると、普段何時にミルクの時間でどれくらいあげるのか、子どもの洗濯した服はどこにしまうのかなど極めて基本的なことから知らず、最初の1週間は子供を抱っこして、ミルクを上げて、洗濯物をするだけで日が暮れていました。2週間頃から少しずつある程度の育児と家事のリズムが分かるようになりました。それでも1日に1回は子供が急に泣き出し、あやしても全く泣き止まず家事が全く進まない時間もありました。いままで当たり前のように妻がしてくれていた、育児と家事のどちらもこの1ヶ月で十分にはできませんでした。ただ、子供の首が座り、寝返りを打てるようになり、笑いながら声を出せるようになるという成長を見ることができたこの1ヶ月間は私にとってはとても貴重な時間になりました。
 2月になって育休が終わってからは、2週目から手術を執刀できるように調整いただき以前と変わらず仕事に復帰できました。1月と忙しい時期にも関わらず、1ヶ月間の育休取得のために多くの御配慮を頂いた先生方、スタッフの方々にはとても感謝しております。
 最後になりましたが、学生や研修医の方々の中には、私のように「外科で男性が育休を取れるわけがない」とか「育休を取ったらその後が不安」と思う方もいらっしゃるかもしれません。日本における男性の育休取得率は15%程度とされており、取得しない理由も職場の雰囲気で取りづらいことなどが挙げられています。しかし、当教室では私や先輩のように実際に男性でも育休をとり、復帰後も育休前と変わらず手術や病棟業務を行えます。家族との時間が取れないからと先入観で外科を諦める前に、一度当教室の雰囲気だけでも見学に来ていただけたらと思います。

文責:細川暉雄

2024.02.29