『第79回日本食道学会学術集会』に参加しました。
2025年6月25日から27日まで京都で開催された第79回日本食道学会に参加しました。25日は評議員会がありましたので、一足先に後藤先生と私は参加しました。近年、食道癌治療はロボット手術の応用や新規抗がん剤の出現などの進歩を続けており、興味のあるセッションが多く、楽しみにしておりました。会場は、京都国際会館で開催され、広くゆったりした雰囲気でした。
26日(初日)には、藤原先生がこれまで研究を続けてきたE-BUSの内容についてパネルディスカッションで発表しました。セッションではあらゆる方法で、T3brなのか、T4なのか議論され、その中でもE-BUSは正確で診断に優れていることを発表していただきました。素晴らしい研究であり、今後もデータをまとめて発展していくべきと思いました。
また、徳島で一緒に食道診療を行っている徳島赤十字病院外科の西野先生、消化器内科の桑山先生も参加されており、発表されていました。夜は、徳島食道の会を開催し、9名の外科医が集まり、京都タワーを眺めながら、熱く食道診療について情報を共有しました。
27日の最終日は、我々の教室の発表が多く、いろんな知識を得ることができました。午前中には、私の発表があり、「Precision Surgery」というテーマをシンポジウムで発表させていただきました。我々の最新の取り組みである胃管血流評価の発表です。SPY-PHI(QP)という機器を用いて、胃管の吻合すべき場所を正確に同定する方法についてです。それを用いてから縫合不全は以前より減少し、吻合部狭窄は発症しておらず、外科医たちのQOLを確実に上げています。会場の反響は大きく、たくさんの質問をしていただきました。多くの施設で採用してもらいたいと思います。
午後には、後藤先生、馬場先生、遠藤先生、そして、古北先生も発表し、徳島大学食道外科をアピールしていただきました。学会を通じて、以下のような重要な知見を得ることができました。
早期食道がんの診断技術の向上、新たな治療選択肢(治療の個別化の重要性が強調され、患者のライフスタイルやニーズに応じた治療アプローチが議論されました。)、今回の学会のテーマでもある予防策の最新研究<食事や生活習慣の改善(特に飲酒)が食道疾患予防にどのように寄与するかについての新しいデータの提示>でした。
今回の学会で得た知識を活用し、食道疾患の診断と治療においてさらに質の高い医療を提供することを目指します。また、学会での交流から得た新しいアイデアを基に、研究の方向性を見直し、食道疾患の予防と治療における革新的な方法を模索していきたいと考えています。食道学会は、私にとって非常に貴重な学びの場となりました。今後も学会への積極的な参加を通じて知識を深め、患者様の健康を支える医療の発展に寄与していきたいと思います。
最後に、学会参加中に病棟業務などを行っていただいた先生方、大変ありがとうございました。
井上聖也
- 井上聖也 先生
- 藤原聡史 先生
- 馬場彩花 先生
- 遠藤鋭人 先生
- 徳島赤十字病院 西野豪志先生
- 徳島食道の会
【発表演題】
《シンポジウム》
縫合不全ゼロを目指したICG胃管血流評価の取り組み
井上聖也,後藤正和,藤原聡史,遠藤鋭人,馬場彩花,藤本啓介,竹内大平,住友弘幸,三崎万理子,滝沢宏光
《パネルディスカッション》
気管・気管支浸潤を疑う食道癌に対する超音波気管支鏡による壁深達度診断の有用性
藤原聡史,後藤正和,井上聖也,馬場彩花,竹原恵美,藤本啓介,竹内大平,三崎万理子,鳥羽博明,滝沢宏光
《一般演題》
術後乳糜瘻に対する鼠径リンパ節アプローチによるリンパ管造影の有用性
馬場彩花,井上聖也,竹原恵美,藤本啓介,竹内大平,三崎万理子,藤原聡史,後藤正和,鳥羽博明,滝沢宏光
食道根治術を施行し、長期生存が得られた食道粘表皮癌の1例
遠藤鋭人,井上聖也,後藤正和,藤原聡史,藤本啓介,竹内大平,住友弘幸,三崎万理子,馬場彩花,滝沢宏光
当科における術前3剤併用化学療法+術後ニボルマブ療法を施行した食道癌症例の検討
後藤正和,井上聖也,藤原聡史,馬場彩花,竹原恵美,藤本啓介,竹内大平,三崎万理子,河北直也,滝沢宏光