『22nd WCBIP/WCBE World Congress』に参加しました。

 10月6-9日にフランスのマルセイユで開催されたWCBIP/WCBE World Congress(世界気管支会議/世界気管食道会議)に参加しました。私は今回Siemens Healthineers社のランチョンシンポジウムで、mobile 3D C-armを使ったマイクロコイルマーキング法について発表する機会をいただきました。マイクロコイルマーキング法は小型肺病変を確実に切除するために当科が開発した技術で、これまでに約300例の実績があります。最近ではハイブリッド手術室を使うことで、マーキングから手術まで全ての手技を全身麻酔下で行えるようになり、より患者さんの負担が軽減されています。
このたびSiemens Healthineers社のご厚意により、mobile 3D C-arm (Cios Spin®)を用いてマイクロコイルマーキング法を3例実施することができました。Cios Spin®は小型でハイクオリティなCone-beam CT画像を得ることができる移動式C-armであり、Cios Spin®があればハイブリッド手術室に限らず、全ての手術室でマイクロコイルマーキング法のようなナビゲーションを要する手術手技の実施が可能になる、というのが発表の趣旨でした。

 自身の発表以外に楽しみにしていたのが、Intuitive社のブースで日本ではまだ見ることも触ることもできないロボット支援気管支鏡の実機のテストドライブをさせてもらうことでした。手元のトラックボールのようなコントローラーで気管支鏡を自由に操れる点は、まるでゲーム感覚でした。テクノロジーの進化には驚かされるばかりです。ロボット支援気管支鏡の日本への導入は未定ですが、未来の気管支鏡の姿を感じることができる貴重な体験となりました。

 久々の海外学会参加でしたが、やはりまだ日本人はほとんど参加していませんでした。この領域における日本の臨床や研究のレベルは間違いなく世界のトップレベルであると信じていますが、情報は発信し続けていないと世界から忘れ去られてしまうのではないかという危機感も持ちました。一日も早くコロナ禍前のように、日本人医師たちも海外学会へ積極的に参加できる日々に戻ってもらいたいと願いつつ、引き続き教室員たちにもどんどん情報発信するように背中を押していきたいと思います。

滝沢宏光

 

 

2022.10.21