中枢気道狭窄に対する治療

腫瘍や外傷、結核などの後遺症で気管狭窄を起こし、呼吸困難の原因となることがあります。その際には硬性鏡や気管支鏡を用いて、レーザーなどで焼灼し、狭窄部を解除する治療を行います。その後、必要に応じてステントと呼ばれる器具を狭窄部に留置し、気道を確保する治療を行います。ステントにはシリコン製のもの、金属製のものなど病変の特徴に応じて使い分けています。

1. 狭窄部を解除するための治療

YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザー、高周波スネア、硬性鏡による機械的切除、バルーン拡張などにより狭窄部を解除し、気道の内腔を確保します。

2. 気道ステント

気道ステントを留置する目的は、狭窄を解除し、呼吸困難などの症状を緩和する目的がほとんどです。対象疾患には、①悪性疾患(肺癌、食道癌、甲状腺癌、転移性肺腫瘍、縦隔リンパ節転移など)、②良性疾患(気管切開後瘢痕狭窄、気管支結核、気管軟化症など)、③気管・気管支食道瘻などがあります。一般的な適応は、①50%以上の狭窄、②呼吸困難などの自覚症状が強い、③狭窄部より末梢の肺機能・血流が保たれている、④3か月以上予後が期待できる、などといわれていますが、個々の患者様の状況によります。

< 図1.各種気道ステント >

< 図2.当科の使用経験 >

1990年~2018年3月までに41例の患者様に計43個のステントを留置しています。ステント留置後は呼吸困難などの症状を緩和することができ、QOL(Quality of life:生活の質)を改善することができました。

 

< 図3.気管~左右気管支にかけて高度に狭窄した症例(肺腺癌 cT4N3M0 StageIIIB) >

気道ステント診療指針[PDF](日本呼吸器内視鏡学会HPから)

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