『関西医科大学附属病院へ手術見学に行ってきました。』

 1月22日に関西医科大学附属病院(外科学講座 山崎 誠教授)へ食道癌手術見学に行ってきました。山崎先生とは2022年8月に徳島へサマーフォーラム講師として来県頂いたことがご縁で、以来食道手術についてご指導を頂いています。当初は2022年10月に手術見学を計画したのですが、COVID-19感染流行で中止、2023年1月に再度計画するも再度感染流行と重なり中止となっていました。今回は3回目の正直ということで見学が実現しました。山崎先生からは是非チームでの見学をとご提案いただいておりましたので、教室の皆さんに無理を言って後藤、井上聖也先生、藤原聡史先生の食道グループ3名で見学に行かせて頂きました。
 搬入時からのすべてを見学すべく前日に大阪入りし、山崎先生のご厚意で関医タワーホテルという病院に隣接する施設に宿泊させて頂きました。このタワーホテルは11階建ての関医タワーの9階~11階までの3フロアをホテルとして開放されており、病院を受診される方やそのご家族さんが利用することができます。今回の我々のような病院見学者や留学生も利用でき、病院横という立地条件は素晴らしく、ホテルとしても十分な施設でした。夜は山崎先生とともにお薦めのアジア料理店で楽しく夕食を頂きました。
 翌日は朝から手術見学です。9時に手術室に搬入になり、執刀開始は10時すぎでした。食道胃接合部癌に対する半腹臥位胸腔鏡下食道亜全摘術の予定です。体位はローテーションなしの前傾左側臥位、6ポート、対面1モニター(3D)での手術でした。中下縦郭操作先行で始まり、上縦郭(右反回神経領域→左反回神経領域)という流れで極めてスムーズに手術は進み、およそ2時間で胸部操作が終了しました。手分けして昼食をとり、腹部操作がHALSで始まりました。胃管作成、胸骨後経路挙上、頸部での吻合(mCollard吻合)、最後に経胃管的空腸瘻造設と進み、この時点で15時30分、執刀から5時間半くらいでした。帰りの大阪市内の渋滞をご心配いただき、ここまでで見学は終了となりました。帰りにドトールでアイスコーヒーをご馳走になり、高揚した気持ちをクールダウンしてお薦め交通ルートに従って帰路につきました。
 きっちりとした郭清を伴う胸腔鏡下食道亜全摘が定時に余裕をもって終わるという衝撃でした。手順の違いなどもありますが、一つ一つの手技に無駄がなく、迷いがなかったと思います。今回の胸部操作は我々の勉強のため、ゆっくり目に行っていただきました。NCDデータなどでも示されているように、胸腔鏡下食道手術は長時間かかっても仕方がない手術であると、これまでどこかで諦めていた部分がありましたが、時間内に終わる手術を実際に目の当たりにして考えは大きく変わりました。自分達もそうありたい、こんな手術を目指したいと強く思いました。帰りの車内では見たことを忘れまいと3人それぞれが印象に残った点、今後に向けての改善点を話し合いました。丁寧に安全に、根治性を保ち、そして時間内に終わる食道手術をグループの目標として取り組みたいと思います。
 病院見学に際して親切に対応していただきました関西医科大学外科学講座 山崎 誠教授、外科スタッフの皆さま、教室秘書の皆さまには厚くお礼申し上げます。そして平日にも関わらず病院見学の許可を頂きました滝沢教授始め、病棟業務を支援していただきました病棟の先生方に感謝申し上げます。

後藤正和

2024.01.30