第35回日本胸腺研究会を主催しました。
2016年2月6日(土)、徳島大学藤井節郎記念医科学センターにおいて、第35回日本胸腺研究会を開催しました。会長は近藤和也が務め、私たち胸部・内分泌・腫瘍外科の教室員が中心となって会の運営を行いました。
日本胸腺研究会は会員数約500名の比較的小規模な学術集団で、外科医、内科医などの臨床系医師と基礎系医師によるバラエティーに富んだ人材によって構成されています。会の目的は「胸腺に関する理解を深め、胸腺の関与する病態の治療に貢献すること」であり、年1回の学術集会は胸腺に関するあらゆる研究成果が発表される、胸腺研究者たちによるコアな集会となります。過去には、1992年に当教室の先代の門田康正教授が第11回の研究会を徳島で主催した歴史もあります。
今年の参加者は約100名で、北は北海道から南は沖縄まで、全国の胸腺研究者が徳島大学に集いました。会場となった藤井節郎記念医科学センターは、UFT、FOY、フォイパン、フサンなどの薬剤を発明・開発された藤井節郎先生のご寄附によって設立された、オープンから2年ほどしかたっていない美しい建物です。
午前9時に近藤和也会長が開会を宣言し、44題の一般演題、3題のミニシンポジウム、そして、特別講演とランチョンセミナーが発表され活発な議論が交わされました。特別講演では徳島大学疾患酵素学研究センターの松本 満先生に「AIRE遺伝子と自己免疫疾患と胸腺について」のご講演いただきました。自己免疫は私たち外科医にとっては敷居の高い分野ではありますが、わかりやすくAIRE遺伝子の働きについてお話しいただき、理解を深めることができました。また、ランチョンセミナーでは鳥取大学胸部外科の中村廣繁先生に「胸腺に対する低侵襲手術の最前線」のご講演をいただきました。高難度の症例もスマートに手術されている動画を多数盛り込んだご発表で、私たち外科医にとっては当然興味深いものでしたが、基礎の先生方も真剣に見入っているあたりは流石のプレゼン力だと感心させられました。胸腺研究会データベースに基づく、ミニシンポジウムの3名の先生方のご発表も臨床に役立つ情報が満載で、大変勉強になりました。私たちの教室からは坪井光弘が「PET/CTで広汎にFDG陽性リンパ節を伴ったリンパ濾胞性胸腺過形成の1例」と、梶浦耕一郎が「胸腺神経内分泌腫瘍におけるRASSF1のDNAメチル化」を発表しました。
会の終了後は、ホール前のロビーを模様替えし情報交換会の会場としました。東京大学の中島 淳先生にはピアノの生演奏もしていただき、とても会場は盛り上がりました。お酒を片手に、参加者の先生方がリラックスした雰囲気で親交を深めておられるのを見て、私たちスタッフも主催教室の務めを無事果たすことができたのではないかと感じました。
参加された先生方、会の運営をサポートしてくださった関係者の皆様に御礼申し上げ、研究会の報告とさせていただきます。
事務局長 滝沢宏光