気管支鏡検査

手術前には胸部レントゲン、胸部CT、PET-CT、脳MRIといった画像検査を行います。
それにて肺がんが疑わしく手術前に確定診断を得たい時は気管支鏡を行うことがあります。5㎜程のカメラを気管支に挿入、それを介して鉗子を問題の病変まで到達させ、組織の一部を削り取ってきます。
当科では、原則1泊2日、もしくは2泊3日の入院で検査を行っています。検査は局所麻酔で行い、検査中には鎮静剤を使用し、できる限り苦痛のないように行っています。検査件数は、年間約100例です。

気管支鏡検査についての詳しい説明は「日本呼吸器内視鏡学会ホームページ」を参照ください

当科の取り組み

1. 小型末梢肺腫瘤に対して

以前から当科ではCTガイド下気管支鏡検査に取り組んできました。より末梢(肺の端の方)にある小型肺腫瘤に対しても診断可能となっています。細径気管支鏡で通常の気管支鏡よりも奥の気管支に進むことができ、さらに手技の最中に仮想気管支鏡や最近ではCone-beam CTを撮影することでターゲットの腫瘤に繋がる気管支への正確な誘導が可能で、診断率が向上しています。

2. 超音波気管支鏡ガイド下針生検

当科では、超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)を積極的に行っています。肺がんなどが原因で大きく腫れた縦隔や肺門のリンパ節、腫瘍を診断するために、超音波ガイド下に21~22Gの細い針を用いて穿刺し、組織や細胞を採取します。

3. 蛍光気管支鏡

蛍光気管支鏡とは、経気管支鏡的に青色光を組織に照射し、正常組織と異常組織から発せられる自家蛍光の強度差を利用して病変を発見する検査です。利点としては、①通常の気管支鏡検査と同じ操作法で検査が可能であること、②通常の気管支鏡の所見に比べると病変部の視認性がよく、早期肺がんの検出により有用であるなどがあります。当科では、OLYMPUS社製のAFI(Autofluorescence Imaging)とPENTAX社製のSAFE-3000(System of autofluorescence endoscopy-3000)の2台を保有し、これらの蛍光気管支鏡を用いて積極的に早期肺がんの発見と治療を行っています。実際の蛍光画像(図)では、SAFE-3000では病変部は自家蛍光が減弱し、欠損として描出され、AFIではマジェンタ色に描出されます。このように蛍光気管支鏡により視認性の良い検査が可能になっています。

4. 局所麻酔薬噴霧スプレーの開発・使用

日本では、気管支鏡検査のほとんどが局所麻酔下に行われます。その局所麻酔の行為自体が患者様の苦痛を伴うものです。当科では、患者様の不快感をできる限り軽減すべく、局所麻酔薬噴霧スプレーを開発・使用しています。(図)本噴霧スプレーを用いることで、霧状に吹き付けるような麻酔が可能になり、均等かつ少量の麻酔薬で十分な麻酔効果を得るとともに、患者様の不快感を軽減させることが可能であると考えています。

診療トップへ戻る