悪性胸膜中皮腫

悪性中皮腫は、肺の周囲を覆う膜(胸膜)に発生する稀なタイプの悪性腫瘍で、アスベストの吸入が発生原因とされています。
主な症状は息切れ、胸部痛などで、胸部レントゲンや胸部CT検査で異常を認めます。
診断を確定するためには胸腔鏡検査といって、胸部に3ヶ所の小切開を加え、カメラで観察しながら特殊な器具で胸腔内の組織を採取する場合もあります。
治療は病期によって、手術、放射線療法、化学療法を組み合わせます。手術は病気の拡がりによって、一部の胸膜と周囲の組織を切除する比較的小さなものから、胸膜肺全摘術といって片側肺とそれを覆う胸膜を全て摘出する非常に大きなものまであります。
放射線療法は、悪性細胞を殺し腫瘍を縮小させるために高エネルギーのX線を使います。化学療法は抗癌剤を用いる治療ですが、点滴で数種類の抗癌剤を投与します。
胸腔内に直接抗癌剤を注入する方法もあります。


膿胸とは胸膜炎に膿の貯留がみられる状態をいいます。
肺炎に合併することが多く一般細菌や結核菌などが原因菌となりますが、肺切などの胸腔内の手術後に膿胸を発症する場合もあります。
慢性膿胸では胸膜が肥厚して左右の胸郭が非対称となり、重症になると脊柱の婉曲が起こります。
慢性膿胸となると抗生剤による治療のみで治癒することは少なく、多くの場合外科的治療を要します。
手術方法は、胸腔ドレナージを行った後に、肺剥皮術といって硬くなって肺の膨張を妨げている胸膜を切除する方法や、胸郭成形術といって肋骨の切除を伴う術式を選択することもあります。

 

漏斗胸の患者さんに対してはNuss法という低侵襲手術を行っています。
従来は前胸部に大きな切開を加え、肋骨を一旦切断した上で胸郭の形を整えるというRavitch法を中心に行っていましたが、近年Nuss法が開発されてからはこの術式を積極的に取り入れてきました。
この術式は2年間、胸郭の矯正のために金属バーを体内にいれる必要がありますが、傷は側胸部に小さなものが残るのみで美容面で優れています。
手術時間も従来の方法に比べ格段に短縮され、より侵襲の小さな手術と言えます。

 

手掌多汗症は、少しの精神的緊張などで手のひらやわきの下に異常に汗をかくという症状を有する一種の疾患です。
患者さんはその症状のために、テストの時に答案用紙が濡れてしまうとか、他人と握手することができない、など様々な悩みを抱えていることが少なくありません。
手掌多汗症でお困りの患者さんに対しては胸腔鏡下胸部交感神経焼灼術という手術を行っています。
これは胸腔鏡というカメラを用いて胸の中にある交感神経を確認したうえで電気メスで焼くという手術で、全身麻酔で行います。
原則として両側行いますが1時間程度で終わります。
傷はわきの下に数ミリのものが2、3ヶ所残るだけでほとんど目立ちません。
手術直後から効果が現れ、手のひら・わきの下の汗はほとんどなくなります。
効果はほぼ100%の症例で得られますが、代償性発汗といって術後に背中や腰、太ももなどに汗をかくようになるという副症状も高率に出現します。
ですから、手術に踏み切るか否かは、患者さん本人がどれだけ症状で悩んでおられるかがポイントになります。