副甲状腺(parathyroid)は、左右上下に4個 (1腺約40mg、ウニ様)ある。ほぼ下甲状腺動脈支配である。組織学的には、実質細胞(主細胞・好酸性細胞・水様明細胞)と脂肪細胞とが混在する。


副甲状腺は、副甲状腺ホルモン(PTH)を産生分泌する。Ca代謝に関係しており、腎(Ca↑,P↓)、 骨(Ca↑,P↑)、小腸(Ca↑,P↑)に作用する。



1)定義、病型
病的副甲状腺が自律的に過剰のPTHを分泌する疾患(Ca↑,P↓)。 正常Ca値 8.8~10.5mg/dl
  散発型
遺伝型 ・・・ MEN1(癌抑制遺伝子MEN1の異変)、2A型、家族性孤立性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺機能亢進症-下顎腫瘍症候群、家族性低Ca尿性高Ca血症
2)疫学
日本では、1/2500~5000人、男:女=1:2、50歳代が好発年齢。
3)病理
  腺腫 (80~90%) ・・・ 大部分は単発(主細胞腺腫が殆ど)、病変内に正常副甲状腺が残っている。
過形成 (10~15%) ・・・ 主細胞過形成、水様明細胞過形成があり、全てが腫大し過機能になる。
(4~6%) ・・・ 厚い被膜と結合織梁の形成、腫瘍細胞の索状配列・核分裂像、被膜又は脈管侵襲像。
病理組織所見だけで癌と腺腫を鑑別することは難しいことがある。
4)症状
骨病変 汎発性線維性骨炎が特徴的で、手指骨の骨膜下吸収像、長管骨の骨嚢腫、頭蓋骨のスリガラス様骨、萎縮像(パンチアウト)、歯槽硬線の消失等が骨X線撮影検査上の特徴所見である。
腎尿路結石、消化器疾患(潰瘍、膵炎、胆石)、高Ca血症症状(悪心嘔吐・筋力低下・集中力低下)、高Caクリーゼ(Ca 15mg/dl↑で意識障害)、新生児テタニー(母の機能亢進症による)
5)診断、部位診断
高Ca血症、PTH高値、超音波検査、シンチグラム
  LOH HHM(1) 1(*)HPT ビタミンD過剰症
血清総蛋白
血清Ca ↑↑ ↑↑
血清P ↑→ 不定
血清Cl <102 <102 >102 <102
PTH
PTHrP
1.25(OH)2D3 ↓→ (2)
尿中Ca ↑↑ ↑↑
腎原性cyclic AMP(3) ↑↑ ↑↑
1(*)HPT:原発性副甲状腺機能亢進症
1)HHMの代表であるPTrPによるものを例とした
2)サルコイドーシスのように1.25(OH)2D3過剰症では↑
3)尿中cyclic AMP排泄量(nmol/dlGF)=尿中cyclic AMP排泄量(nmol/dl)×血清Cr(mg/dl)/尿中Cr(mg/dl)
    腎原性cyclic AMP(nmol/dlGF)=尿中cyclic AMP排泄量(nmol/dlGF)-血中cyclic AMP(nmol/dl)


6)治療
<手術適応>
根本治療は手術のみで、無症状なら年齢を考慮することもある。
 ⅰ)典型的な症状(骨・腎・消化器症状)が出現
 ⅱ)血清Ca値が正常値より1~1.6mg/ml以上上昇(Ca値12mg/ml以上)
 ⅲ)腎機能が健常者の30%以下に低下、尿中Ca排泄量が400mg以上、骨塩量が明らかに低下
 ⅳ)他に原因のない不定愁訴、経過観察不可能

<手術方針>
  腺腫 ・・・ 腫瘍1腺と過形成との鑑別のため正常の同側1腺も切除(最近は、病変腺のみ切除することも)。
過形成 ・・・ 4腺全摘し、1腺の一部を自家移植する(最近は、病変腺のみ切除することも)。
・・・ 周囲組織を含め摘除、郭清することもある。
<術後処置>
 摘出直後(当日~翌日)からCa値は低下する。Ca値に注意し必要であれば、Ca剤・Vit.D3を投与する。


多臓器の疾患(腎不全、透析)により、Ca値が低下し二次的にPTHが過剰分泌する状態。症状は、原発性とほぼ同様で、ALP・PTH高値が特徴である。原則として内科療法でVit.D3の投与、Pの摂取抑制、透析がある。副甲状腺は、過形成となり、手術法は、原発性と同様である。エタノール注入法(PEIT)もある。


非機能性(真性嚢腫、経過観察)と機能性(腺腫の嚢胞化、腺腫の治療に順ずる)がある。