甲状腺機能亢進症
甲状腺から産生される甲状腺ホルモン量が過剰である状態

甲状腺中毒症
血中甲状腺ホルモンは増加しているが、甲状腺でホルモン産生は亢進していない状態


Basedow病(Grave’s disease)
機能性甲状腺結節(Plummer病)

二次性甲状腺機能亢進症(TSH分泌過剰)
三次性甲状腺機能亢進症(TRH分泌過剰


亜急性甲状腺炎
慢性甲状腺炎の急性増悪期
びまん性甲状腺腫
Basedow病
慢性甲状腺炎の急性増悪期

Basedow病+非機能性結節
機能性結節(プランマー病)



細胞外から甲状腺へのヨード輸送、さらには甲状腺細胞の機能を観察するために用いられる検査
検査前の1週間、厳重なヨード制限食をし、Na 131Iを経口摂取する。
投与24時間後の甲状腺部の放射能を測定し、補正を行い、投与量の何%が甲状腺に摂取されたかを計算する。投与量は5μCi。
正常は10~35%。


前処置として1~2週間のヨード制限を行う。
123Iを経口投与し、3時間後に摂取率測定とシンチグラフィー、24時間後に摂取率測定を行う。
投与量は100~200μCi
※123Iは131Iに比べて物理学的半減期が短く(13時間)β線を出さないので
被爆線量は131Iの約1/10であるが、高価であるという欠点がある。


甲状腺ホルモン分泌を刺激するTSH受容体抗体(TSH receptor antibody)が産生される自己免疫性甲状腺疾患である。
HLAなどの遺伝因子と環境因子も発症に関与している。

1)疫学
有病率 1000人に1人
好発年齢 20~30歳代  
男:女 1 : 5~6

2)症状
Merseburgの3徴候
①甲状腺腫 ②心悸亢進 ③眼球突出
動悸、体重減少、発汗過多、易疲労感、微熱、手指振戦、情緒不安定、月経異常
頻度低だが特徴的症状として周期性四肢麻痺、脛骨前粘液水腫、白斑がある。

3)検査所見
甲状腺ホルモン値(T3,T4またはFT3,FT4)↑
TSH ↓
TRAb陽性(約90%で)

T-Cho ↓
FFA (free fatty acid) ↑
ALP3 ↑ 
Ca ↑
高血糖

4)画像所見(超音波)
甲状腺はびまん性に腫大し、内部エコーは正常ないしは低下する。
内部エコーが低く不均一である場合には、病気の活動性が高いといわれている。
甲状腺の血流の増加を反映して血管の拡張像と拍動がみられ、カラードプラ装置では強い血流信号が得られる。
Basedow病にはしばしば良性および悪性の結節性病変が合併する。

5)合併症
甲状腺中毒性ミオパチー
甲状腺機能亢進症の20~30%にみられる。近位筋の萎縮、脱力
周期性四肢麻痺
甲状腺機能亢進症の約10%にみられる脱力発作
重症筋無力症
重症筋無力症の約5%に甲状腺機能亢進症が合併
甲状腺機能亢進症の0.1%に重症筋無力症が合併
甲状腺クリーゼ
未治療または不完全な治療中に感染、手術、ストレス、妊娠などが誘因となって代謝異常状態が急速に進行し、生体が順応できなくなり起こる重篤な状態。
発熱、発汗、頻脈、不穏、昏睡などが起こり、しばしば死にいたることがある。

6)Basedow病の治療
①抗甲状腺剤・・・日本では第一選択
②手術療法
③放射線治療・・・131I(β線)療法(アメリカで多い)
  抗甲状腺剤 手術療法 131I療法
利点 可逆性の効果がある。
比較的安全。
常に効果が期待できる。
短期に効果がある。
妊娠中でも実施可能である。
比較的短時間に効果がある。
安全である。
永久緩解率が高い
欠点 長期療養を要する。
効果が不確実、不安定。
手術合併症
(クリーゼ、反回神経麻痺など)の
危険性がある。
手術瘢痕が残る。
特殊な設備がいる。
遺伝的影響の可能性。
適応 子供の甲状腺機能亢進症
甲状腺腫の小さい軽症例
発症後の日の浅い症例
抗甲状腺剤でコントロール困難
抗甲状腺剤治療後再発
内服が困難(副作用その他)
30歳以上の症例
同左
手術困難、術後再発症例
禁忌 薬剤過敏症
MMIは授乳中禁忌
妊娠中は絶対禁忌
ではない。
高齢者、重篤な合併症ある者
甲状腺腫の小さな症例
眼球突出の著明な症例
妊娠、授乳中の婦人
(小児および20歳以下の若年者)


抗甲状腺剤
 MMI(methylmercaptomidazole) メルカゾール
PTU(propylthiouracil) チウラジール
初期投与は大量とし、症状の改善にあわせて漸減する。緩解(内服をやめても再発しない)率は約6割。
数年かけて治療する。
治療中、甲状腺ホルモン剤を併用することもある。
副作用:発疹、皮膚掻痒症、白血球減少、口内炎、脱毛など。
重篤な副作用として無顆粒球症がある。

手術療法
<手術適応>
 1. 内科的治療で寛解しない若年者
 2. 短期間に治療希望
 3. 腫瘍の合併
 4. 抗甲状腺剤の副作用例
 5. TRAb高値で甲状腺腫の大きい、妊娠を控えた女性
 6. バセドウ眼症

<術前管理>
甲状腺クリ-ゼを回避するため、甲状腺機能のコントロールが重要(①抗甲状腺剤,、②無機ヨード剤、 ③β-遮断薬、 ④副腎皮質ホルモン薬などを用いる)
特に無機ヨード剤は甲状腺機能の正常化のためのみならず、甲状腺の血流減少のために非常に有効。

<術式> 
甲状腺全摘
甲状腺超亜全摘   
甲状腺亜全摘   
  
   <術後合併症>     
1. 術後出血: 術後血腫の形成により気道閉塞が起これば致命的となる。
2. テタニ-: 副甲状腺の血行障害により起こる.多くは一過性で2~3週間で回復する。バセドウ病           
患者は骨代謝が亢進しているため,術後骨吸収によりテタニーを起こしやすい。
3. 反回神経麻痺: 片側麻痺-嗄声,誤嚥  両側麻痺-窒息の危険
4. 甲状腺機能低下症

放射線治療
<適応>
1. 中高年者で抗甲状腺剤により副作用のある例
2. 中高年者で抗甲状腺剤により寛解しない例
3. 中高年者でTRAbが陰性化しない例
4. 手術後の再発例

<絶対的禁忌>
妊娠中、授乳中の患者

<相対的禁忌>
近い将来妊娠を希望する者

<治療法>
放射線ヨード(131I)を内面に塗布したカプセルを内服させ、アイソトープを甲状腺内に取り込ませる。
β線が1~2mmの範囲の甲状腺濾胞を照射する内照射である。

一般的に50~70Gyの照射となる。
治療後2~3週間後より徐々に効果が現れる。


橋本策が、1912年に最初に報告した疾患であり、橋本病で世界中に通じる。
自己免疫性疾患であり、40代女性(1/100人)に好発している。
病理組織学的には、甲状腺濾胞上皮の好酸性変性、間質のリンパ球系細胞浸潤やリンパ濾胞形成、間質の線維性結合織増生が特徴である。
甲状腺腫は瀰漫性に腫大し(一側葉のこともある)弾性硬である。
進行すると機能低下症・粘液水腫に移行する。瀰漫性甲状腺腫を認め、機能亢進症状を欠くときは橋本病を考える。
つまり、消費者(末梢細胞)の需要(FT3,FT4)に十分答えれない能率の悪い工場(甲状腺)であるから親会社(視床下部、下垂体)が指令(TRH,TSH)を強く出すために無理(腫大)し供給しようとする。
抗サイログロブリン抗体・抗ミクロゾーム抗体陽性、TSH高値、FT3,FT4低値が一般的である。
治療として甲状腺ホルモン補充療法(長期投与にても副作用殆どなし)を行う。
これによりTSH抑制し甲状腺が小さくなる。